行政代執行
行政としても所有者に働きかけ、解体すれば解決しますが、なかには所有者が不明な場合や、解体をしようとしない場合もあるそうです。
以前の東京都葛飾区での出来事です。
[東京葛飾区にある築56年の空き家が3日(2016年3月)、葛飾区によって強制的に取り壊された。所有者がはっきりわかっている空き家では全国初のケースで、費用185万円は所有者に負担を求める。
空き家は木造2階建てで、傾いていて外壁ははがれ、庭木も伸び放題だった。葛飾区は所有者の70代女性に修繕を申し入れてきたが、応じようとしないため特定空き家に指定し、行政代執行に踏み切った。昨年施行された特別措置では、改善勧告や命令に応じない所有者に代わって行政による強制取り壊しを認めている。
所有者の女性は取り壊し家屋から車で5分のマンションに住んでいる。「自分は認めていない。やってとは言っていない。予算が1銭もない」と話している。56年前に建てて家族で住んでいて、26~27年前に建て替えようとしたが、地主と借地交渉が決裂したため放りっぱなしにしたという。
弁護士は「土地を借りる権利の上に家が建つ。家をのけられると借地権がなくなる。地主は明け渡し料を払わず、建て替え費用がかかる当事者への影響は大きい」と話す。行政代執行で借主を追い出せる地主は負担しないでいいのかという問題ははっきりしない。
空き家は全国で820万軒といわれ、全戸数の13・5%にもなる。2040年には空き家率40%になるとの試算もあるという。] テレビニュースから空き家問題の問題点は「解体費用」と「跡地利用できるかどうか」です。跡地利用しやすい土地に建っている空き家の場合、すんなり話が解体の話が進むことが多いといえます。長年放置している家のほとんどは車が近寄れない狭い道路に面しています。
建物と土地の所有者が違う場合が今回のニュースの事例です。地主が解体後の跡地利用を計画していても、建物の所有者が行方不明の状態や解体費用を捻出できないことが空き家の老朽化に繋がります。また、支払能力はあっても建物所有者には建物を壊すメリットが特にありません。気持ちは分からなくもないですが社会的道義として最後まで所有者としての責任を全うしてほしいものです。
また、解体工事の難易度や規模により、費用がかなり掛かる場合もあります。手壊し解体や残存物が大量にある場合等です。一括して解体費用を捻出できない方のために、現在銀行は空き家対策の融資を設けています。条件はありますが、低金利で融資を受けることができます。貯金が無い方は相談することも一つの手段だと思います。
行政には今後、空き家対策へのさらなる法整備が求められてきます。所有者を特定することが容易になれば所有者への働きかけもスムーズに行うことができます。さらに、空き家を早めに解体し更地になることで所有者にメリットがあれば解消されていくことでしょう。そうすることで街の防災や治安、美化を保つことができ、跡地利用を加速することでさらなる発展も期待できると思います。